帰化申請の相談で行政書士が確認するポイントを解説

帰化申請の相談で行政書士が確認するポイントを解説

帰化申請を行政書士に依頼する場合、まずは帰化の要件を満たしているか、不許可となる事情がないかなどを確認するためのヒアリングが行われるのが一般的です。その内容を踏まえて、依頼を受けるかどうかや契約へ進むかが決まります。

この記事では、行政書士との相談・ヒアリングではどのようなことを確認されるのかについて解説します。

日本滞在期間

帰化申請では、法律上は引き続き5年以上日本に住所を有していることが要件とされています。ただし、2026年4月頃以降は、実務上、10年前後の居住実績が求められるケースが増えているといわれています。
また、出国については永住許可申請よりも厳しく判断される傾向があります。一般的には、

  • これまでの滞在期間において、1年間の出国日数の合計が100~150日以内であること
  • 1回の出国が3か月未満であること

の両方を満たしていることが望ましいとされています。ただし、これらは法律で定められた明確な基準ではなく、あくまで実務上の目安です。
会社の業務命令による海外出張であっても、必ずしも特別な配慮がされるとは限らないため、長期の出国や頻繁な海外渡航には注意が必要です。

また、出国回数が多く正確な出国日数を把握できない場合や、自動化ゲートを利用してパスポートに出入国スタンプ(証印)が押されていない場合は、出入国在留管理庁に対して出入国記録の開示請求を行い、自身の出入国歴を確認しておくことをおすすめします。管理庁に対し出入国履歴の個人情報請求を行って把握することが有効だと言えます。

出入国記録の開示請求については、こちらの記事で詳しく解説しています。
➡ 「出入国記録の開示請求とは?取得方法や必要書類を行政書士が解説

親族の把握

親族の把握帰化申請では、親族関係についても確認します。主に次のような方が対象となります。

  • 父母
  • 兄弟姉妹
  • 結婚している場合は、配偶者・子・配偶者の父母
  • 離婚歴がある場合は、元配偶者

これらの情報は、帰化申請書類に親族の状況を記載する必要があるため、法務局へ提出する書類を作成するうえで重要な確認事項となります。事前に氏名や生年月日、住所などを把握しておくと、手続きをスムーズに進めることができます。

履歴の整理

帰化申請書類の中でも、履歴書の作成は最も時間と手間がかかる作業の一つです。
永住者が帰化申請を行う場合、日本に10年以上住んでいることも珍しくないため、引越しや転職を繰り返している方は、これまでの経歴を整理するだけでも多くの時間を要します。

特に、日本国内での住所変更(引越し)が頻繁な場合は、過去の住所を正確に把握する必要があります。そのような場合には、出入国在留管理庁に対して外国人登録原票に係る保有個人情報開示請求を行い、住所履歴を確認しながら履歴書を作成していきます。
また、転職回数が多い方は、勤務先の名称や所在地、入退社年月日などについても事前に整理しておくと、ヒアリングや申請書類の作成がスムーズに進みます。

年金、健康保険、住民税、国税の納付状況

2026年4月以降の運用では、納税状況については過去5年分、年金および健康保険の納付状況については過去2年分が審査対象となりました。

従来は、いずれも1年分程度の確認で足りるケースが一般的でしたが、現在は確認対象期間が延長されたことから、帰化審査は以前よりも厳格な運用へと変更されています。

もっとも、現時点では永住許可申請ほど納付遅延に対して厳しく判断される傾向にはありません。しかし、今後さらに運用が見直される可能性もあるため、税金や年金、健康保険料は日頃から期限内に納付するよう心掛けましょう。

違反歴

特に交通違反には注意が必要です。日頃から車を運転する方や自転車を利用する方は、交通ルールを厳守するよう心掛けましょう。
路上駐車や一方通行の逆走、踏切での一時不停止など、うっかり違反してしまうケースは少なくありません。しかし、こうした交通違反を繰り返していると、帰化許可申請や永住許可申請の審査において不利に評価されます。
また、重大な交通違反で赤切符による処分を受けた場合は、一定期間が経過しなければ申請が難しくなることもあります。帰化や永住を目指している方は、無理な運転や危険運転は絶対に避け、日頃から安全運転を心掛けましょう。

自営業者の場合の注意点

外国人本人または配偶者が会社を経営している場合(役員に就任している場合も同様)や個人事業主の場合は、給与所得者の場合と比べて確認事項や必要書類が増えます。例えば、

  • 赤字経営や債務が多くないか
  • 申請者個人の税金だけでなく、会社の税金もきちんと払っているか

等です。税務違反があったり、別の法令違反があったことがある場合は問題となります。

親子同時申請

家族全員で帰化申請を行う場合、両親と子どもが同時に申請するケースであれば、通常は大きな問題となることはありません。
一方で、前婚の子、いわゆる「連れ子」がいる場合は注意が必要です。この場合は、申請者である外国人本人がその子について親権を有していることを確認する必要があります。そのため、本国の離婚証明書や親権者を確認できる公的書類などを提出し、親権の有無を証明することになります。
また、共同親権制度を採用している国では、前配偶者の同意や追加の手続きが必要となる場合もあり、事案によっては手続きが複雑になることがあります。そのため、連れ子がいるケースでは、事前に必要書類や手続きについて十分に確認しておくことが大切です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、行政書士との帰化申請の相談・ヒアリングで確認される主な内容について解説しました。
帰化申請では、日本での居住状況や出入国歴、親族関係、職歴・住所履歴、税金や年金などの納付状況、交通違反の有無など、幅広い事項が審査対象となります。そのため、申請をスムーズに進めるためには、事前にご自身の状況を整理し、必要書類を準備しておくことが大切です。

当事務所では、帰化の要件を満たしているかどうかの確認から、必要書類の収集、申請書類の作成、法務局への申請まで一貫してサポートしております。
帰化申請をご検討中の方や、ご自身で申請できるか不安な方は、お気軽にご相談ください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

吉﨑理人

吉﨑理人 行政書士・申請取次行政書士

立命館大学法学部卒。京都市・向日市を中心に活動する行政書士です。