
帰化許可申請や永住許可申請では、出国期間が長いと許可を受けることが難しくなる場合があります。しかし、頻繁に日本と外国を行き来している方の場合、自分では外国での滞在期間を正確に把握できないことも少なくありません。そのような場合に利用できるのが、法務省出入国在留管理庁に対して行う「出入国記録の開示請求」です。
本記事では、出入国記録の開示請求の概要や請求方法、必要書類について解説します。
出入国記録の開示請求とは?
「出入国記録」とは、日本への入国・出国の履歴を記録した情報であり、法務省出入国在留管理庁が管理しています。
「出入国記録の開示請求」とは、本人や一定の要件を満たす代理人などが、法務省出入国在留管理庁に対して保有個人情報の開示を請求する手続です。請求が認められると、出入国在留管理庁が保有している当該外国人の出入国年月日、利用した空港・港、在留資格に関する情報などの出入国記録が開示されます。
請求ができる方
出入国記録の開示請求ができる方は、次のとおりです。
- 本人
- 法定代理人(親権者、成年後見人など)
- 本人から委任を受けた任意代理人(行政書士など)
行政書士が任意代理人として請求を行う場合は、本人からの委任状など所定の書類が必要となります。
どのような場合に必要になる?
出入国記録の開示請求は、次のような場合に利用されることがあります。
帰化許可申請を予定している場合
帰化申請では、日本での居住状況や出国期間が審査の対象となるため、正確な出入国歴を確認したいときに利用されます。
永住許可申請を予定している場合
永住許可申請でも、長期間の出国や頻繁な海外渡航がある場合は、出入国記録を確認して申請資料の作成に役立てることがあります。
海外渡航が多く、出国日数を正確に把握したい場合
仕事や出張、旅行などで頻繁に海外へ渡航している方は、滞在日数を正確に計算するために利用されることがあります。
パスポートを更新・紛失し、過去の出入国歴が分からなくなった場合
古いパスポートを処分したり紛失したりして渡航歴が確認できない場合でも、出入国記録を取得することで過去の出入国履歴を確認できます。
開示請求の方法
請求の方法は主に以下の2つです。
窓口
最寄りの地方出入国在留管理局で申請可能です。
郵送
保有個人情報開示請求書は、パソコンからWordまたはPDF形式でダウンロードできます。ダウンロードした請求書を印刷し、必要事項を記入した上で、本人確認書類などの必要書類を添付し、管轄の出入国在留管理局へ郵送して請求します。
必要書類
本人が出入国記録の開示請求を行う場合、主な必要書類は次のとおりです。
- 保有個人情報開示請求書
- 本人確認書類の写し
- 手数料分の収入印紙
- 返信用封筒(郵送で請求する場合)
また、行政書士などの任意代理人が請求する場合は、委任状などの追加書類が必要となります。
必要書類は請求方法や代理人の有無などによって異なる場合がありますので、事前に出入国在留管理庁のホームページで最新の情報をご確認ください。
取得までの期間
出入国記録の開示請求を行った場合、通常は請求から数週間程度で開示されます。
出入国在留管理庁のホームページでは、保有個人情報の開示請求について、原則として請求があった日から30日以内に開示・不開示の決定を行うとされていますが、請求件数や審査状況などによっては、開示までにさらに時間を要する場合もあります。そのため、帰化申請や永住許可申請などで出入国記録が必要な場合は、余裕を持って請求することをおすすめします。
出入国記録を取得する際の注意点
- パスポートのスタンプと一致しない場合がある
- 古い記録は取得できない場合がある
- 氏名変更がある場合は確認資料が必要になることもある
- 開示まで時間がかかる場合がある
帰化申請では出入国歴が重要
帰化申請では、出入国歴が重要なポイントとなります。
帰化の要件を定める国籍法第5条には「引き続き5年以上日本に住所を有すること」という居住要件が定められています。一方で、「1年間の出国日数の上限」については法律に明文の規定はありません。しかし、実務上は出国期間や出国回数が居住要件の判断に影響するため、出入国歴は重要な確認事項となります。
そのため、海外渡航が多い方や、日本と外国を頻繁に行き来している方は、自分で正確な出国日数を把握できていないことも少なくありません。そのような場合には、出入国記録の開示請求制度を利用し、自身の出入国歴を確認したうえで帰化申請を進めることをおすすめします。
まとめ
出入国記録の開示請求は、ご自身の海外渡航歴を正確に確認できる制度です。日本で生活しており、何年も海外へ渡航していないという方であれば、利用する機会はあまりないかもしれません。しかし、仕事や旅行などで頻繁に海外へ渡航される方は、この制度を利用して出入国記録を確認しておくと安心です。なお、出入国記録の開示請求は行政書士が代理人として手続きを行うことも可能です。ご自身の渡航履歴を確認したい方は、お気軽にご相談ください。
当事務所では、帰化許可申請や在留資格申請に関するご相談を承っております。出入国履歴の確認方法や申請書類についてご不明な点がございましたら、お気軽にお問い合わせください。
⇩