在留資格「永住者」とは?メリット・デメリットと永住許可の要件を解説

在留資格「永住者」とは?メリット・デメリットと永住許可の要件を解説

外国人として日本で長期的に安定した生活を送りたい場合、在留資格「永住者」は非常に重要な選択肢の一つです。一般的には「永住ビザ」と呼ばれていますが、正式には在留資格「永住者」といいます。本記事では、永住者の在留資格の概要や他の在留資格との違い、メリット・デメリット、そして永住許可を受けるための要件について詳しく解説します。

永住者の在留資格とは?

「永住者」の在留資格とは、原則として、外国人が生涯にわたって日本に居住することを目的として取得する在留資格です。永住ビザは、就労ビザや留学ビザとは異なり、在留期限の更新や職種の制限がほとんどなく、日本人とほぼ同じように生活ができ、在留資格の中では最も安定した在留資格と言えます。このため、留学ビザから就労ビザに移った外国人や、日本人と結婚して来日した外国人などは、日本で安定した生活を送るために、永住ビザ取得を目標とすることが多いです。とは言え、永住ビザも在留資格の1つなので犯罪行為などの違反があると、永住ビザが取り消されることがあります。

永住者のメリット・デメリット

永住ビザには様々なメリットがありますが、一方で注意すべきデメリットも存在します。以下で詳しく説明します。

永住者のメリット

  • 無職でも問題なし(就労ビザとかで無職期間があると更新が許可されないことがある)
  • 職種や活動の制限がほとんどない
  • 在留期限更新がない(7年に1回在留カードを差し替える必要はある)
  • 社会的信用が上がる(住宅ローンとかが受けやすい)
  • 配偶者と離婚や死別したとしても永住ビザは取り消されない
  • 国籍を変更しなくても良い(帰化と違い元の国籍を維持できる)

永住者のデメリット

  • 永住ビザは、高度専門職ビザで認められる親の呼び寄せなどの優遇措置が使えなくなります。
  • 永住ビザは帰化とは異なり、外国籍のままのため参政権はありません。
  • 帰化と違い重大な犯罪などを犯すと永住許可が取り消されることがある。

永住許可申請の要件

永住許可申請の要件は入管法22条に規定されています。

入管法22条

入管法22条

(1項)在留資格を変更しようとする外国人で永住者の在留資格への変更を希望するものは、法務省令で定める手続きにより、法務大臣に対し永住許可を申請しなければならない。

(2項)前項の申請があつた場合には、法務大臣は、その者が次の各号に適合し、かつ、その者の永住が日本国の利益に合すると認めたときに限り、これを許可することができる。ただし、その者が日本人、永住許可を受けている者又は特別永住者の配偶者又は子である場合においては、次の各号に適合することを要せず(略)。

一 素行が善良であること。

二 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること。

入管法22条の要件を簡単に整理すると以下のようになります。

  1. 素行が善良であること(素行善良要件)
  2. 独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること(独立生計要件)
  3. その者の永住が日本国の利益に合すると認められること(国益要件)

1項は永住許可が欲しい場合は申請してくださいというだけの条文です。条文の肝は2項であり、要件が3つ規定されています。

ただし書きは、日本人の配偶者と子、永住者の配偶者と子などについては素行善良要件、独立生計要件が問われないことを規定しています。

永住許可に関するガイドライン

条文に書かれてある①素行善良要件、②独立生計要件、③国益要件と言っても抽象的すぎてよく分かりません。

そこで具体的な内容を確認するために参照するのが、「出入国在留管理庁ホームページ」で見れる「永住許可に関するガイドライン」です。ホームページ内の検索バーで「ガイドライン」と検索すれば一番上に出てくると思います。そこに書かれている要件を以下に抜粋します。

(1)素行が善良であること

法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること

(2)独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること

日常生活において公共の負担にならず、その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること。

(3)その者の永住が日本国の利益に合すると認められること

  •  原則として引き続き10年以上本邦に在留していること。ただし、この期間のうち、就労資格(在留資格「技能実習」及び「特定技能1号」を除く。)又は居住資格をもって引き続き5年以上在留していることを要する。
  •  罰金刑や拘禁刑などを受けていないこと。公的義務(略)を適正に履行していること。※公的義務の履行について、申請時点において納税(納付)済みであったとしても、当初の納税(納付)期間内に履行されていない場合は、原則として消極的に評価されます。
  •  現に有している在留資格について、出入国管理及び難民認定法施行規則別表第2に規定されている最長の在留期間をもって在留していること。
  •  現に有している在留資格について、法務省令で定める上陸許可基準等に適合していること。
  •  公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないこと。

⇒ (日本人、永住者、特別永住者の)配偶者と子についての(1)と(2)の免除規定、難民等については(2)の免除規定が置かれています。

3要件の具体例

①素行善良要件

過去に拘禁又は罰金刑を受けている場合、刑の消滅(刑法第34条の2)により刑が消滅してから申請します。

②独立生計要件

生活保護を受給せず、一般的に年収300万円程度あれば申請者が自立して生活できると判断されます。(年収はあくまで目安。最近は厳しくなっており350万円くらいある安心とされている。)

③国益要件

  •  原則10年日本に在留していることが要件になります。例外として日本人の配偶者や高度専門職のビザで日本に滞在している外国人については、原則とされる10年の在留期間を満たしていなくても永住許可が認められる場合があります。
  •  拘禁刑や罰金刑を受けていないこと、将来的に再犯の恐れがないかが確認されます。納税の義務をきちんと履行していることも確認されます。
  •  入管法施行規則で別表第2規定されている最長期間を与えられていない場合は原則として永住許可申請はできません。(令和9年3月31日の時点において在留期間「3年」を有する者については、当該在留期間内に処分を受ける場合、その初回に限り「最長の在留期間をもって在留している」ものとして取り扱う。)
  •  ペスト、結核などの患者や覚醒剤中毒者じゃないことが必要です。

は、

  • 「出入国管理及び難民認定法第七条第一項第二号の基準を定める省令」(上陸許可基準)
  • 「特定活動告示」又は「定住者告示」に該当するとして在留を許可されている場合は、それらの告示で定める要件

に適合していることが必要です。

まとめ

いかがでしたでしょうか。今回は、永住許可申請の概要やメリット・デメリット、そして許可を受けるための要件について解説しました。

永住ビザは在留期間の更新が不要になるなど多くのメリットがありますが、その分、納税状況や年金・健康保険の納付状況、素行などが厳しく審査されます。そのため、要件を揃えて提出しても思わぬ理由で不許可となるケースもあります。

次回は、永住許可申請に必要な書類や申請の流れについて解説します。永住許可申請を検討されている方は、ぜひ参考にしてください。

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この記事を書いた人 Wrote this article

吉﨑理人

吉﨑理人 行政書士・申請取次行政書士

立命館大学法学部卒。京都市・向日市を中心に活動する行政書士です。